近ごろ、熱い誘惑が多くて困っているはなこ(@honhatomodachi)です。
ほんと、「ちょっと俺んち寄っていけよ」ってすぐ誘ってくるんで困ってます。
どうせ興味があるのはわたしじゃなくて、お金なんでしょ?そうやって誘惑して、散財させるつもりでしょ?
他の女にも声かけてるって知ってるんだからね。
わたしはそう簡単に貢ぐ女じゃないわよ。
お金目当てで女なら誰でもいいなんて、ひどい男だって思いません?
彼は、その頭脳いっぱいに知識と最新情報を詰め込み、歴史からビジネス、教養やファッションまでもを網羅しているスーパーインテリ男なんですけどね。
女なら誰でもいいようで、小学生や高齢のご婦人にまで「ちょっと寄っていかない?」と声をかけているみたいで。
ほんと、ダメ男。
しかも実は女じゃなくて男でもいける口なようで…貢がせるプロですね。いけ好きません。
ちなみに誘惑してくるお相手は「本屋」という名前です。
というどうでもいいオープニングから始まりました。
・・・気を取り直して、今回はみなさんご存じ「伊坂幸太郎」さんの作品についてご紹介していきます。
あの独特な世界観と圧倒的想像力に魅了されている方も多いのではないでしょうか。
「こんな人にはこの小説を読んでほしい」という思いを伝えつつ、おすすめのポイントをご紹介します!
ぜひ最後までご覧下さいね!
「オーデュボンの祈り」―かかしってしゃべるんだね
まずはド定番「オーデュボンの祈り」です。
5秒で読める簡単すぎるあらすじ
主人公「伊藤」は、やけを起こしてコンビニで万引きをしたところ、警察に捕まってパトカーに乗せられます。
しかしパトカーより脱走。
脱走して気を失います。
そして目を覚ますとなぜか見知らぬ島に…そこで様々な事件が起こります。以上です。
この本をおすすめしたいのはこんな人
・かかしと話せるようになりたい人
・万引きしてみたいけど捕まりたくないから逃げ方を知りたい人
・政府が認知していない島での生活に憧れる人
・見知らぬ島で有名人になりたい人
・歴史の知識を身につけたい人
おすすめポイント
この物語の肝になるのがなんといっても喋るかかし!しかもこのかかし、未来が見えるらしい。
みなさん、知ってました?かかしって、喋るんですね~~
主人公伊藤がたどり着いた島には、喋るかかし以外にも、嘘しか言わない画家、殺人を警察から許可された男、熊みたいな男など、変なやつがうようよいます。
このクセのつよい登場人物たちが暮らす島には「何かが足りない」と言われ続けているのですが、それが何かという答えを、唯一知っているかかしが殺されてしまうわけです。
そこで、漂流(?)してきた伊藤は
「かかしは未来見えるから自分が殺されるの分ってたはずやん。なのになんで殺されたん?」
と疑問を持つわけです。
ラストシーンも壮観ですね。個人的に「桜」という登場人物が好きなので、そこにも注目してみてください。
「ガソリン生活」―車の感情って豊かだね
続いては「ガソリン生活」というお話です。
5秒で読める簡単すぎるあらすじ
緑デミと呼ばれている望月家所有の「車」が主人公。
車同士が、人間から得た情報を交換しつつ、望月家の危機を救うお話。
車と自転車は会話ができないらしい。
なお、車と電車は会話可能。
この本をおすすめしたいのはこんな人
・普段、愛車が思っていることを知りたい人
・車のカーストについて学びたい人
・生意気で理路整然と話す大人びた弟がいる人
・実は車と会話ができるんだよねっていう人
おすすめポイント
なぜ、伊坂さんは車を主人公に話を書こうと思ったのだろうか。
普段私たちが何気なく乗っている車ですが「こんな風に思ってたんだなぁ」と気付かされました。
ラストシーンもなかなか素敵です。
途中までかなり物騒ですが、最後になんだか笑顔になれるほっこり系のお話です。
個人的に校長先生大好きです。
校長、強すぎだからね。
あ、あと「オー!ファーザー!」のあの方も登場しますよ…
朝日文庫を買った方は、カバーの裏側までじっくりご覧くださいませ!
「グラスホッパー」―殺し屋なのにかっこよすぎて惚れる
少し前にHey! Say! JUMPの山田涼介さん主演で、映画化したことで有名になった「グラスホッパー」です。
5秒で読める簡単すぎるあらすじ
元教師の鈴木は、妻をひき逃げで殺されその犯人(寺原)に復讐するためにヤバい会社に入るが、復讐を目前に、その寺原がひき殺される事件が起こる。
寺原を殺したとおぼしき人物を追いかけたところから、いろんなジャンルの殺し屋が次々に登場し、鈴木自身の命も危ぶまれるなか、果たして事件は解決するのでしょうか…
この本を読んでほしい人はこんな人
・殺し屋という職業に興味のある人
・復讐したい相手がいる人
・殺されそうなスリルを味わいたい人
・人生正直に生きなあかんと思ってる人
・ハラハラどきどきしたい人
おすすめのポイント
なんとまぁ、数多くの殺し屋が登場することか。
自殺専門の殺し屋、人を「押して」殺す殺し屋、毒殺専門の殺し屋、ナイフ使いが上手い殺し屋。
世の中にこんなに殺し屋がいたらたまったもんじゃないわ。
恐ろしい。
この「グラスホッパー」の世界では驚くほど簡単に人が殺されていきます。
何人殺すねん、っていうくらい。
ただ、全く生々しくないんですよね、不思議なくらいに。
これぞ、伊坂さんのすごさなんだと思いますが。
一番お気に入りのキャラクターは「槿」さんです。
クールで落ち着いててかっこいい!
「槿」の読み方が分らない方はぜひ、小説を手に入れて答えを探してくださいね。
ちなみに続編の「マリアビートル」も大好きです。
「グラスホッパー」よりも明るいので読みやすいです。
サイコパス中学生の冷静さ、てんとうむしくんの運のなさ、祖父母の強さ、蜜柑と檸檬のコンビの性格の違い、全てが計算されていて少しずつ絡み合っていくさまに圧倒されました。
「グラスホッパー」を読んだ方は、ぜひこちらも手にとってみてください。鈴木も登場しますよ!
「砂漠」―伊坂氏が描く青春とは
伊坂さんがめずらしく青春もの(と言っていいのかわからないけど)を描いた作品「砂漠」をご紹介します。
5秒で読める簡単すぎるあらすじ
大学で出会った男女5人。
合コン、通り魔事件、捨て犬の救助、その他もろもろの出来事を経験して、それぞれが成長していく。
登場人物が常識的ではない超能力を持っていたり、サンテクジュペリの「人間の土地」がやたらと好きな人がいたり、超絶美人だったり、女好きだったりします。
この本を読んでほしいのはこんな人
・青春よもう一度、と思っている人
・星の王子様が好きな人
・麻雀が好きな人
・大学時代に恋したかった人
・学年一美人のハートを射止めたい人
・人に自慢できる超能力がある人
おすすめポイント
どの物語にも当てはまるんですが、この「砂漠」もみんなキャラが濃い。
誰一人として普通の大学生が出てきません。
それでも読んでいて違和感のかけらも感じないところは、本当に伊坂氏の尊敬すべき点ですね。
大学生5人組がメインですが、話は大学生っぽさがあまりありません。
みんな自由奔放すぎです。
個人的に好きなキャラは西嶋くんです。
「人間の土地」、いつか最後まで読んでみたいと思っています。
「陽気なギャングが地球を回す」―キャラ濃すぎませんか
もう少しお付き合いください!
続いても、だいぶ昔に映画化されている「陽気なギャングが地球を回す」です。
5秒で読める簡単すぎるあらすじ
ある銀行で出会った4人の男女。
その銀行で銀行強盗に巻き込まれたときに「おれたちならもっと上手くやれる」と考えて意気投合し、銀行強盗を始めることに。
4人とも人には自慢できない特技を持っています。
天才かよ。
この本を読んでほしいのはこんな人
・失敗しない銀行強盗をしたい人
・自分の方がキャラ濃いもん、って自信のある人
・お金に困っている人
・嘘を本当らしく伝える方法を知りたい人
おすすめポイント
4人が銀行強盗を始めようと思ったきっかけが面白すぎます。
そして、4人とも特技のクセがすごい。
あ、性格のクセもすごいですが。
悪いことをしているはずなのに、応援したくなってしまうこの気持ち、何なのでしょうか。
銀行なんてやっちゃいけないよ!という気分には全くならずに、どうか失敗しませんように、と願いながら読んでしまいました。
その場で思いついたことをべらべら話し始める響野さんみたいな人、いるよね~!と思いながら読んだので、みなさんもその話術に引き込まれてみてください。
ちなみに、続編の「陽気なギャングの日常と襲撃」
そして、「陽気なギャングは3つ数えろ」もめちゃくちゃおもしろいので、ぜひチェックを!!
「オー!ファーザー!」―最も好きな物語
さて、こちらも映画化されている「オー!ファーザー!」です。
5秒で読める簡単すぎるあらすじ
高校生の由紀夫にはなんと4人も父親がいる。
スポーツ万能、成績優秀、勝負事に強い、女の扱いが上手い。
そんな父親に囲まれて生活する由紀夫だが、市長選挙や同級生の引きこもり、誘拐などの事件に巻き込まれて…
この本を読んでほしいのはこんな人
・父親が2人以上いる人
・才色兼備になりたい人
・母親が不在がちな人
・同級生が引きこもっている人
・女の子に好かれたい人
おすすめポイント
この「オー!ファーザー!」は、わたしが人生において一番衝撃を受けた1冊です。
父親が4人いる高校生なんて設定を、思いつく人がこの世にいることにショックを受けました。
それ以来、わたしの中で伊坂幸太郎氏の存在が日々大きくなりつつあります。
「別に」が口癖の高校生由紀夫と、4人の父親、同級生たち、富田林さん。
それぞれのキャラが愛おしいほど魅力的です。
正直、由紀夫なんかはどこにでもいる高校生です。
伊坂氏から語られる彼の心中は等身大の高校生そのもの。
平凡な高校生のはずなのに「父親が4人いる」というインパクトだけで、こんなにも確立したキャラになりえるわけです。
語り始めたら止まらないのでここまでにしておきますが、まだ読んでいない方がいたら、ぜひ読んでいただきたいと思います。
普段あまり読書をしない方でも読みやすい文体で、難しい話はまったく出てこないのでおすすめです!
伊坂幸太郎作品の魅力はキャラクターの濃さにあり
以上、伊坂幸太郎さんの作品でおすすめしたいものをご紹介しました。
まだまだ素敵な物語がたくさんあるのですが、今回はここまで。まもなく5000字を迎えようとしていますので…
伊坂幸太郎さんの作品に総じて言えることは、登場人物が全員個性的でキャラが濃いこと。
みんなキャラが濃いくせに、物語は淡々と進んでいくこのギャップがたまらないのです。
ひと癖、ふた癖どころじゃないキャラの濃さなのに、盛り上がるべきところで盛り上がりすぎない語り手のテンションがちょうど良い刺激となって、読者の心を惹きつけていきます。
もう、完全に伊坂ワールドのとりこですね。
おそらく一生ここからは抜け出せないでしょう。
でも囚われていることに幸せを感じます。
他者の追随を許さない圧倒的想像力で、淡々と物語を描ききる伊坂氏の小説。
読んで損はありません。
みなさんも伊坂ワールドにどっぷり浸かって、喋るかかしや、かっこいい殺し屋、銀行強盗、高校生や大学生に会いに行ってみてくださいね。
きっと素敵な出会いが待っているはず。
【好きな本を紹介したい人、集まれ!】
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