※2021.05更新
・逆光で撮ったら顔が真っ暗になった
・逆光撮影は難しそうで、挑戦したことがない
・逆光でもうまく撮影できるコツが知りたい!
カメラ初心者がつまずくシチュエーションのひとつ、逆光。
逆光でもかっこよく写真が撮れることは知っていても、実際に挑戦してみると「思い描いていた写真にならずに、失敗してしまう」ということがよくあります。
そこでこのページでは、カメラ初心者でも真似するだけで簡単に逆光写真が撮影できるコツや被写体別の撮り方について紹介します。
このページを参考に撮影にのぞめば、逆光で明るさに困ったり撮影に失敗して落ち込むこともないはずです!
逆光撮影のカメラ設定を先に知りたい場合は「逆光撮影のカメラ設定」へジャンプできます。
光の向きの種類と逆光
光の向きは大きく分けて3つあります。
・順光
・サイド光
・逆光
これらはそれぞれに向いている被写体や特徴があり、どの光の向きが一番だ、という決まりはありません。
順光、サイド光については「順光と逆光、サイド光とは?被写体によって使い分けたい光の当たり方」のページで詳しく解説しています。
逆光の特徴
逆光とは、被写体の背後から光が当たること。撮影者から見ると、太陽を正面に浴びる状態になります。
逆光で撮影すると手前に影ができるため透明感や柔らかい雰囲気が出しやすく、ポートレートや花、料理の撮影に向いています。
逆光が嫌われる理由
逆光が嫌われる、逆光撮影が難しい理由には以下の2点が挙げられます。
①被写体が暗くなってしまう
②明暗差が大きく、明るさ調整が難しい
それぞれの理由を詳しく解説します。
①被写体が暗くなるのは当たり前
まず大前提として、逆光で撮影したときに被写体が暗くなるのは当たり前、ということを理解しておきましょう。
被写体は太陽を背にしているので、当然被写体が向いているカメラ側には光が当たりません。つまり、暗くなるのは当たり前のことだから失敗ではない、ということです。
では、なぜ「逆光は失敗だ」と思う人が多いのかというと、②で述べた明るさ調整が難しいからです。
②カメラは明暗差が苦手
カメラは明るい場所と暗い場所が同時にある状況がとっても苦手です。
人間でも明暗差が大きい場所に行くと、目が慣れるまで時間がかかりますよね。カメラは人間のように「目が慣れる」ことはないので、自動で明暗差を調整することができません。
1枚の写真の中に明るい場所と暗い場所(逆光で暗くなっている場所)があると、カメラはどっちの明るさを基準とすべきか迷ってしまいます。
明るいほうを基準にすると全体が暗くなり、逆に、暗いほうを基準にすると、全体が明るくなって白飛びしてしまう、というジレンマに陥ってしまうのが、一眼レフやミラーレスカメラの特徴。
このジレンマを解消できれば、逆光でも被写体が暗くなった失敗写真にならずに済みます。つまり、明暗差の大きい場所でのカメラ設定に慣れれば、逆光撮影もこわくない!ということです。
逆光撮影のカメラ設定
逆光撮影で失敗しないためには、被写体の明るさをコントロールできればいい、ということが分かりました。
ここからは逆光撮影をするときのカメラ設定について具体的に紹介します。
逆光撮影で意識したいこと
逆光撮影で意識してほしいのは、被写体をシルエットにしたいのか、明るくしたいのか、はっきりさせることです。
シルエットにしたいなら、被写体が暗くなって背景が適切な明るさになるように調整します。
被写体を明るくしたいなら、全体の明るさを上げていきます。
逆光撮影の場合、どっちにするか考えずに中途半端な明るさにしているため「失敗した・・・」と思ってしまう場合がほとんどです。
自分はどっちの写真に仕上げたいのか、考えてからカメラ設定を調整しましょう。
なお、シルエットにしたい場合は「【シルエット写真の撮り方】カメラ設定と撮影するときのポイント・加工方法を教えます!」のページでも詳しく解説しています。
ISO感度は少し低めに
絞り、シャッタースピードは、基本的に逆光以外の撮影のときと同じ数値でOK。
ISO感度だけは、いつもより少し低めにするのがおすすめです。
逆光で、被写体を明るくしようとしてISO感度を上げてしまうと、どうしても背景が白飛びしてしまいます。
白飛びしてしまった写真と、暗めの写真では、暗めの写真のほうが圧倒的に修正しやすいので、あえて白飛びさせたい場合をのぞいて、暗めに撮影しておきましょう。
ISO感度はいつもより一段階下げる、と覚えておきましょう。
カメラ設定の目安は「【天候・状況別】カメラ設定に困ったときに見てほしい設定値の目安【ISO・絞り・シャッタースピード】」で詳しく紹介しています。
露出補正で明るさ調節
露出補正とは、カメラが決めた明るさを調整しなおすこと。
カメラには撮影環境の状況によって、写真を適正な明るさに調整してくれる機能があります。しかし、「撮りたいのはこの明るさじゃない・・・」と思うこともあるので、そんなときは露出補正で調整ができます。
カメラの設定画面の⑤から変更ができます(上の画面はCanon EOS KissX7です)。
逆光の場合には、プラス補正すると被写体が明るくなります。ただし、プラスにしすぎると背景が白飛びしてしまう効能性が高いので、一段階ずつ調整しましょう。
関連記事>>>写真が白飛びする(白くなる)…その原因と対処法【一眼レフ・ミラーレス】
逆にシルエットにしたい場合は、マイナスに補正します。こちらもやりすぎには注意です。
関連記事>>>露出・露出補正とは?露出を変えると写真はどうなるの?
測光モードは部分・スポット測光
逆光撮影時、測光モードは部分測光、またはスポット測光を選びましょう。
測光モードでは、カメラが光量を確認する方法を決めることができます。
通常、カメラは写真の中を光が多い(明るい)部分、少ない(暗い)部分に分けて、それぞれの明るさを調節しています(Canonでは評価測光、Nikonではマルチパターン測光)。
明暗差の大きい逆光撮影では、通常の測光モードだと上手く明るさを調節できずに被写体が暗くなったりしてしまうので、逆光に強い部分測光やスポット測光がおすすめです。
スポット測光では、ピントを合わせた部分の明るさを基準にします。
逆光で暗くなっている被写体にピント合わせると、全体が明るくなります。背景などの明るい場所に合わせると、被写体は暗くなりシルエット写真になります。
関連記事>>>測光モードの選び方。評価・部分・スポット・中央重点のちがいは?
オートライティングオプティマイザをオンにする
逆光撮影時は、オートライティングオプティマイザをオンにしておきましょう。
オートライティングオプティマイザとは、写真の明るさ調節を自動でおこない、適切な明るさに仕上げてくれる機能のこと。
Canon以外では以下のように呼ばれています。
・Nikon→アクティブDライティング
・SONY→Dレンジオプティマイザー
・PENTAX→D-Range設定
・Panasonic→iDレンジコントロール
・OLYMPUS→ハイライト&シャドーコントロール
オートライティングオプティマイザの良いところは、写真全体ではなく場所を選んで明るさを変更できるところ。そのため、背景を白飛びさせずに被写体のみ明るくすることができて、逆光撮影時にはとても便利な機能です。
詳しくは「逆光撮影で使えるオートライティングオプティマイザの設定方法と選び方」のページで説明しています。
マニュアルフォーカスを使う
逆光撮影でピントを合わせるとき、オートフォーカスにしていると思わぬところにピントが合っていることが。これは被写体が暗くてカメラが認識できていないからです。
そこで、自分でピントの位置を調整できるマニュアルフォーカスを使ってみましょう。
マニュアルフォーカスは、数ミリ単位でピントの調整が可能で暗い場所にも強いピントの合わせ方です。
詳しくは「マニュアルフォーカスとは?AFとMFの違いとメリット、ピントの合わせ方について」のページで解説しています。
被写体別の逆光撮影のコツ
ここからは被写体別の逆光撮影のコツを紹介します。
ポートレート
逆光で上手く撮りたいナンバー1はポートレートですよね。
ポートレートを逆光で撮影すると、明るめの設定であれば髪がきらきらしたり、やわらかいイメージになったりします。
暗めに撮影すればシルエットになり、輪郭が強調されたかっこいいイメージになります。
ポートレートを逆光で撮影するときは、被写体の顔の向きを意識することが重要です。
太陽を背に、まっすぐカメラのほうを向いてしまうと顔全体が暗くなってしまうので、すこしだけ横向きになってもらうと、顔にも光が当たってピントも合わせやすく、撮影も楽になります。
また、太陽を必ずしもフレーミングの中に入れる必要はありません。
むしろ、太陽は入れないほうが全体の明るさ調整もしやすく、顔が暗くなりすぎないので、試してみてください。
ポートレートを逆光で撮るメリットは以下の通りです。
・被写体の顔を太陽のほうへ向ける必要がないので、まぶしい顔にならない
・シルエットなら顔を写したくない場合でも撮影可能
料理・食べ物
料理や食べ物は逆光で撮影することで、より美味しそうに見えます。
料理に正面から光を当てると、陰影が薄くのっぺりした印象になってしまいます。逆光だと立体感がうまれて食べ物にツヤがでるので、みずみずしさや新鮮さが表現できます。
料理を逆光で撮るときのコツは、なるべく自然光を使うこと。
料理は室内で撮影することが多いと思いますが、その場合なるべく自然光だけで撮影できる場所にセッティングしましょう。
また、直射日光よりはレースカーテンなどで光量を調節するとより効果的です。
詳しくは「【テーブルフォトの撮り方】おしゃれに見える構図と光の向きを知ろう【料理・お菓子編】」のページでも解説しています。
花・葉・ガラス
花・葉・ガラスなど、光を透過するものは逆光で撮るときれいです。
花や葉は、下から撮ることで太陽光が透けて色がより鮮やかに感じられます。
ガラスも同じく、太陽の光を透過することで透明感が増します。とくに上の写真のように、模様のあるガラスやステンドグラスなどは逆光で撮ることで神秘的になります。
上のような窓の写真では、露出補正はマイナスにしてシルエットにすることで、メリハリがでて対比を楽しめます。
被写体を透き通る光のことを「透過光」といいます
日常風景
日常のワンシーンも、逆光で撮ると雰囲気が出るのでおすすめです。
とくに夕方はぜひ逆光で。日中の強い光では表現できないやわらかさや淡い感じを簡単に撮ることができます。
暗い室内から明るい屋外を撮るのもあり。これは教会の中から撮影しましたが、厳かな雰囲気が強調されていてお気に入りの1枚です。
フレア・ゴースト
逆光だからこそ挑戦してほしいのが、ゴーストとフレアという現象。
上の写真の左上と右下に小さな光の塊がありますが、これがゴーストと呼ばれるものです。
この写真のように、全体が光のモヤに包まれている現象がフレアです。
詳しい撮り方や、フレア・ゴーストが発生する原因は「フレアとゴーストの違い。発生する原因と対策・出し方を理解しよう」のページで解説しています。ぜひご覧下さい。
逆光撮影は時間帯が重要
逆光で撮影するときに気をつけてほしいのは、撮影する時間帯です。
日差しの強い日中よりも、日の弱い朝や夕方のほうが逆光撮影がやりやすいです。
何度か伝えたとおり、カメラは明暗差が苦手な機械です。なるべく明暗差の少ない逆光の時間帯をねらえば、今まで苦手だった撮影もスムーズにいくかもしれません。
朝や夕方の日差しが弱い時間帯にぜひチャレンジしてみてくださいね。
逆光は失敗じゃない
逆光撮影は難しいものではありません。逆光撮影の手順は以下の通りです。
・ISO感度はいつもより少し低くする
・露出補正で明るさを調整する
・測光モードは部分・スポット測光を使う
・オートライティングオプティマイザをオンにする
最後に、逆光撮影をするときに覚えておいてほしいことをまとめます。
・逆光で被写体が暗くなるのは失敗ではなく当たり前のこと
・カメラは明暗差が大きい場所が苦手
・自分が撮りたいのはシルエットか、被写体の明るい写真か決めて撮る
・日差しの弱い朝や夕方に撮影する
逆光写真は失敗ではありません。明るさの調節方法さえ知っていれば、こわがらずに挑戦できるはずです。
逆光撮影のコツをおさえて、素敵な写真をたくさん残してくださいね!
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今日、大洗の磯前神社の海の鳥居に朝日が登る時に家族写真を撮りました。シーン設定で逆光にしましたが顔は真っ黒でした。太陽を入れず、鳥居をバックに朝日に対して少し斜めで撮ると顔がはっきり撮れて喜んでいます。本誌を読んで、写真って奥が深い、テクニックってあるんだなと感銘を受けました。今度はひまわり畑を家族と行って、又、本誌を参考に逆光で撮りたいと思います。